薬子の京 上・下巻 

薬子の京〈上〉薬子の京〈上〉
(1999/01)
三枝 和子

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お気に入り度 ★★★★☆☆☆

平城京から長岡京を経て平安京へ遷都した桓武天皇。皇太子の安殿親王はその帝の犠牲になった早良親王の怨霊に怯えるが、娘の入内に付き添って宮中に入った藤原縄主の妻薬子によって心の平安を得る。以来薬子は安殿親王に愛されるが、宮中には帝位と藤原氏の内部抗争にからんだ陰謀が渦巻いていた──。

薬子の変」で知られる藤原薬子は、人妻でありながら娘が入内した皇太子の寵愛を受け、乱を引き起こした悪女というイメージが強いと思う。が、本書に登場する薬子は、怨霊におびえ、父帝や弟に劣等感を持つ安殿親王に同情を寄せ、義憤をおぼえて親王を守ろうとした女性として描かれている。実際、位を降りた親王を見捨てず平城京までお供した薬子と兄の仲成は、お人好しとも言えるのかもしれない。引退後の平穏な生活を望むばかりの安殿に被せられた謀反の疑いに、身をもってかばおうとした薬子の覚悟は潔かった。

ヒロインは薬子だが、それ以外の女性、たとえば光仁帝の後宮に入りその後出家した産子や、薬子の娘の長子、そして家刀自として頼もしい存在感を見せる真都などの生き方も印象的だった。
[ 2008/06/14 23:19 ] [日本史]平安時代 | TB(0) | CM(0)

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